日本では反発し合って互いに融和しないことを「水と油」と表現します。
これは、水と油は化学的な性質が真逆であることが由来となっていることわざであり、油には水に馴染みやすくなる「親水基」が存在せず、水のように分極もしていません。そのため、分極している物質やイオンと親和性のある水は疎水性で分極していない油とは馴染むことができないのです。
しかし、水に界面活性剤を含む洗剤を加えることで油と馴染むことができるようになり、皮脂汚れや油汚れをスッキリ落とすことができるようになります。
「ならば、衣類に付いた油シミも洗濯機に入れて洗えば落とせるのでは?」と思った方も多いかもしれませんが、仕事中や調理中、食事中に衣類に付いてしまった油シミを洗濯機でそのまま洗ってしまった場合、永遠に取れない汚れへと変化してしまいます。
その理由は、水は油シミの無い部分には素早く浸透して行くことができるのですが、油シミのある部分にはなかなか浸透することができないからです。
そこで、水が油シミを落とせるように表面張力を弱めて汚れている部分にも水が浸透しやすくなるよう、洗濯前に前処理を行っておく必要があります。
そこで、今回は衣類に付いてしまった油シミを洗濯前にキレイに落とす方法と洗濯方法をご紹介します。
油シミになる前の対処法
家族や恋人、お友だちとランチやディナーを食べに行ったとき、スパゲッティやラーメン、サラダのドレッシングが跳ねて衣類に付いてしまった場合、油シミになる前に汚れを取り除く必要があります。
①油汚れが付いた部分を乾いたティッシュで押さえて油分を吸い取ります。
②ティッシュを濡らしてハンドソープを少量つけます。
③②のティッシュを汚れに当て、水分をしっかり馴染ませます。
④汚れが付いた衣類の裏生地側に何枚か重ねたティッシュまたは汚れても良いハンカチを当て、表面から乾いたティッシュで“ポンポン”と軽く叩いて油汚れを裏側のティッシュ (ハンカチ)へと移します。
⑤乾いたティッシュで水分とハンドソープをしっかり落としたら応急処置の完了です。
[注意点]
・油汚れの油分を吸い取る前に水で拭いてしまうと汚れが広がってしまいますので、必ず油分を吸い取ってから次の手順に進みましょう。
・あくまで応急処置ですので油シミにならないよう、帰宅後はきちんと前処理を行ってからお洗濯するようにしてください。
油シミになってしまった場合の落とし方
応急処置したにも関わらず、油シミが出来てしまった場合、食器専用洗剤を使って落としてゆきましょう。
「なぜ食器専用洗剤 (台所用の中性洗剤)を使って油シミを落とすの?」と疑問に思われた方も多いと思いますが、食器専用洗剤には油汚れを効果的に落とすことができる界面活性剤が含まれているため、油シミを効率良く落とすことができるのです。
もちろん、重曹やオキシドールなどを使っても良いのですが、食器専用洗剤ならばどのご家庭でも必ずある洗剤であり、コスパも良いため、今回は食器専用洗剤を使った油シミの落とし方をご紹介します。
①油シミになってしまった部分を30℃から40℃のぬるま湯で濡らします。
②汚れ部分に直接食器専用洗剤を塗り込んでゆきます。
※汚れが隠れるくらいたっぷり塗ってください。
③柔らかい歯ブラシを使って油シミを擦り洗いします。
④擦り洗いをしたら、すすがずに洗濯機へ入れて通常通りのお洗濯を行ったら完了です。
頑固な油シミは落とせるのか!
数日放置してしまった油シミや機械油の付いた作業着などの頑固な油シミの場合、直接食器専用洗剤をかけて擦り洗い後に洗濯機で洗濯しても落とすことができません。
こういった落とすことが難しい油シミは「熱湯で下洗い」してから洗濯すると完璧に落とすことはできませんが、目立たなくさせることはできます。
①70℃から80℃の熱湯をバケツに張り、洗濯用洗剤を入れて洗浄液を作ります。
②①に頑固な油シミの付いた衣類を入れて30分ほど漬け込みます。
③30分後、衣類を取り出して軽くすすぎ、衣類が温かいうちに洗濯しましょう。
[よりキレイに仕上げるコツ]
・油汚れによる油シミは酸性の汚れですので弱アルカリ性の洗剤を使用するとキレイに落とすことができます。
※ただし、機械油やグリスなどは酸性の汚れでは無いためキレイに落とすことができません。
・40℃から50℃のお湯で洗濯しましょう。
・酸素系漂白剤を使うと、より効果的に汚れを落とすことができます。
いかがでしたか。
今まで油汚れによる油シミが付いてしまった衣類は捨てていたという方も多いと思いますが、
・油シミになる前にしっかりと油汚れを落とすこと
・洗濯前に5分間下処理を行うこと
・頑固な油シミを落とすには洗濯に使用する洗剤とお湯の温度にこだわること
これら3つを知っていると、突然の油汚れや油シミにも対処することができるようになりますので、この3つのポイントを覚えておきましょう。