引っ越し前に現在住んでいる部屋を隅々までキレイに掃除をしてから退去すると本来なかったはずの敷金が返ってくることがあります。
そのため、普段よく使っていたキッチンやお風呂場、トイレなどを入念に掃除すればよいとお考えの方も多いですが、普段滅多に掃除することのない天井や押入れ、下駄箱などの掃除も忘れてはいけません。
なかでも特に忘れがちなのが、部屋の壁紙です。
壁紙には、タバコのヤニや調理中の油汚れ、手垢や湿気などによって、黄ばみや黒ずみ汚れがあちらこちらに付いているのですが、面積が広いうえ、天井付近になると手が届きにくいため、掃除するのが面倒に感じる方もたくさんいます。
また、壁紙は素材や汚れの種類によって掃除方法が異なるため、誤った方法で壁紙の汚れを落としてしまうと取り返しがつかない大変な事態を招く可能性があります。
そこで、今回は退去時に壁紙の黒ずみ汚れをキレイに落として退去したい方のための正しい落とし方をご説明します。
壁紙の種類と掃除方法
壁紙に使用されている主な素材は、
・布クロス壁紙
・漆喰壁
・砂壁
・綿壁
になります。
ビニールクロス壁紙
壁紙の定番であるビニールクロス壁紙は、他の壁紙と比べると若干耐水性がありますので、洗剤を使って汚れを落とすことができます。
重曹水やクリームクレンザーを使って汚れを落とすことも可能ですが、色柄の場合は塩素系漂白剤の使用は控えた方が良いでしょう。
なかなか落とせない頑固な汚れは柔らかい歯ブラシやスポンジを使って優しく擦り落とすか、メラミンスポンジを使って汚れを取るのがおすすめです。
ただし、ジョイント部分に水や洗剤が入ってしまうと、壁紙が剥がれてしまう恐れがありますので注意しましょう。
布クロス壁紙
布クロス壁紙は液体が滲みやすいので洗剤を使って掃除する際は注意が必要です。
誤って水や洗剤を布クロス壁紙に掛けてしまうと、壁紙が浮き上がってしまったり、布だけ飛び出してしまう可能性があります。
目に付く汚れは消しゴムを使って優しく擦り落とし、ホコリやゴミを落とす際は毛先の柔らかいホウキもしくは掃除機で吸い取るようにしましょう。
漆喰壁
近年一般家庭でも採用されるようになった漆喰壁は、汚れを落とす際に水や洗剤を使ってしまうと染み込んでしまうため、残念ながら自分自身で掃除することはできません。
新たな汚れやシミを作らないよう、ここはプロに頼んで汚れを落としてもらいましょう。
砂壁
和室の部屋に多く使われる砂壁や綿壁は、漆喰壁と同じく水や洗剤を吸い込んでしまうため、残念ながら自分自身で掃除することができません。
壁紙が珪藻土の場合、汚れが付着すると落とすことが難しくなりますが、固く絞った柔らかいタオルを使って汚れた部分を優しく叩くとある程度汚れを落とすことができます。
ホコリやゴミが付着しているときは、優しくコロコロをかけるとキレイに取ることができます。
綿壁
レーヨンを中心とした合成繊維や綿、朝などの混紡糸を使用した壁紙の場合、水や洗剤を使用することができません。
どうしても汚れを落としたい場合は、固く絞った柔らかいタオルで優しく叩いて落としてゆきましょう。
大きなシミができてしまったら、業者に頼んでシミ抜きしてもらいましょう。
黒ずみまでキレイにするには
壁紙の汚れで最も厄介なのが「黒ずみ」です。
黒ずみ汚れの主な原因は、
・カビ
・長期間放置してしまったホコリやゴミ
である可能性が高く、特にカビによる黒ずみ汚れは他の黒ずみ汚れとは違い、非常に落とすのが厄介な汚れとなっています。
ですが、それぞれの汚れに合った洗剤や掃除方法を用いることで、新品同様とまでは行きませんが、黒ずみ汚れを目立たせない程度まで落とすことは可能です。
それでは、さっそく黒ずみ汚れの原因別落とし方をご紹介します。
手垢による黒ずみ汚れの落とし方
・食器用洗剤
・雑巾
・ぬるま湯
[落とし方]
①バケツに40℃から50℃ほどのぬるま湯を張り、雑巾を濡らして固く絞ります。
②固く絞った雑巾に食器用洗剤を数滴たらして馴染ませます。
③壁紙の目に沿って優しく丁寧に拭いてゆきます。
④乾いた雑巾で乾拭きし、洗剤をキレイに拭き取ったら完了です。
[ポイント]
・手垢による黒ずみ汚れの多くは人間が手で触れるスイッチ部分やコンセント付近によくみられます。
・ぬるま湯を使うことで汚れが浮き、落としやすくなります。
・使用する食器用洗剤は「キュキュット」などお好みのもので構いません。
・壁紙の素材によっては水や洗剤が使用出来ないものがありますので事前に素材を調べてから行うようにしましょう。
カビによる黒ずみ汚れの落とし方
・塩素系漂白剤
・毛先の柔らかな歯ブラシ
・雑巾
・ゴム手袋
・マスク
・サングラス
[落とし方]
①ゴム手袋、マスク、サングラスを装着し、窓や換気扇をつかってお部屋を換気します。
②毛先の柔らかな歯ブラシに塩素系漂白剤を吹き掛けます。
③②の歯ブラシを使ってカビが生えてしまった部分を優しく擦ります。
④黒ずみ汚れが落ちたら、すぐに水拭きしてください。
⑤洗剤を残さずキレイに拭き取ったら完了です。
[ポイント]
・カビによる黒ずみ汚れは風通しが悪く、湿気の溜まりやすい場所にできます。
・カビによる黒ずみ汚れを発見したら直接塩素系漂白剤を壁紙に向かって吹き掛けたくなるかと思いますが、直接吹きかけてしまうと壁紙が傷んでしまいますので、必ず歯ブラシに吹き掛けてから落とすようにしてください。
・壁紙によっては変色や傷みの原因となりますので、必ず目立たないところで試してから行うようにしましょう。
ホコリやゴミによる黒ずみ汚れの落とし方
・住居用洗剤
・雑巾
・掃除機
・毛先の柔らかい歯ブラシ
[落とし方]
①掃除機を使って大きなホコリやゴミを取り除きます。
②歯ブラシを使ってスス汚れを擦りながら、掃除機で吸い取ります。
③住居用洗剤を直接壁紙に吹き掛け、洗剤を塗り込むように歯ブラシで優しく擦ってください。
④乾いたキレイな雑巾で洗剤を拭き取り、濡らして固く絞った雑巾で丁寧に水拭きしたら完了です。
[ポイント]
・ホコリやゴミが原因の黒ずみ汚れは、人の手が届かない場所やキッチンやダイニングなどを中心に付きやすい傾向にあります。
・ススによる黒ずみ汚れは、他の黒ずみ汚れとは異なり比較的簡単に落とすことができます。
退去時に壁紙の黒ずみ汚れをキレイに落として退去したい方のための正しい落とし方をご説明させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
壁紙の素材や汚れの種類などによって、自分自身ではどうしても汚れを落とすことができないことがあります。
今までお世話になった大家さんや不動産屋さんに感謝の気持ちを込めて、最後にお部屋の隅々までキレイに掃除してゆきたいとお考えの方は、引っ越しを決める前に1度壁紙の素材や汚れの付着具合を調べてから、自分で掃除をするのか、専門の業者に頼んで汚れをキレイに落としてもらうのかを決めましょう。