「明日授業で使う浴衣を探していたら、しわくちゃになった浴衣を発見!こんなの恥ずかしくて持って行けないよ。どうしよう。」
「1年前に着た浴衣を今年も着たいという娘のために、しまっておいた浴衣を取り出したら、しわくちゃになっていて着させてあげることができなかった。」
このような経験をされたことのある方も多いのではないでしょうか。
浴衣についた軽いシワは、着物用ハンガーにかけて10分ほど干せばキレイに伸ばすことができるのですが、しっかりとついたシワの場合はハンガーにかけて干しても伸ばすことができません。
ですが、どうしても明日しわくちゃの浴衣が必要だという方も大勢いることでしょう。
そんなときは、アイロンをかけて浴衣についたシワを伸ばしてゆくのがおすすめです。
「浴衣にアイロンを使ったら傷んでしまうのでは?」と心配されている方もいると思いますが、正しい知識とかけ方を学ぶことで、誰でも簡単に浴衣を傷めずにアイロンをかけることができるようになります。
アイロンがけのコツを掴めば、浴衣にシワができてしまったときだけではなく、ワンランク上の浴衣の着こなし術も身に付けることができるようになります。
では、さっそくしわくちゃになってしまった浴衣の正しいアイロンのかけ方についてご説明します。
浴衣のアイロンのかけ方とは
浴衣へのアイロンのかけ方をご説明する前に1つ注意しなければならないことがあります。
お察しのとおり、浴衣のなかには特殊な素材や染め方、柄も多く、熱に弱いものもありますので、必ず洗濯表示を確認してからアイロンがけをするようにしてください。
なお、詳しい洗濯表示の意味などについては消費者庁の公式ホームページをご参照ください。
では、浴衣への正しいアイロンのかけ方をご説明します。
①洗濯表示でアイロンがけが可能かどうかを確認してください。
②床にバスタオルを2枚 (毛布でも可)を敷き、襟が左側にくるように浴衣を広げます。
③浴衣に当て布をし、襟⇒背中⇒見ごろ⇒袖の順にアイロンをかけてゆきましょう。
④着物専用のハンガーにアイロンがけが完了した浴衣をかけて、しっかり冷まします。
⑤浴衣が冷めたら干しっぱなしにせず、キレイに畳んでしまいましょう。
・アイロンをかける際に襟や裾を引っ張りながらかけるとキレイに仕上げることができます。
・洗濯時に洗濯のりを使用していない場合、シワ伸ばしスプレーを利用しましょう。ただし、のりをつけ過ぎてしまうと、えりがゴワゴワしてしまい、首を痛める原因となりますので気を付けてください。
・乾いている浴衣にアイロンをかけるときは霧吹きで湿らせながらかけましょう。スチーム機能が付いている場合も霧吹きで水をかけながらアイロンがけをした方が、シワが伸ばしやすくなります。
・浴衣の生地がポリエステルの場合、霧吹きで水をかけながらアイロンがけをしないでください。
・色移りを防ぐために前身ごろと後身ごろは重ねずにアイロンがけをするようにしましょう。
・ラメの入った浴衣にアイロンをかける場合、生地の裏側からかけるようにしてください。
・えりに芯が入っている浴衣の場合、アイロンをかける前にきちんと抜き取っておきましょう。
保管方法で変わる1年後の保存状態
ところで、なぜ1年前にキレイに洗濯してしっかり乾かしてから収納したはずなのに、1年後に取り出したら浴衣がしわくちゃになってしまったのかと不思議に思っている方も多いのではないでしょうか。
その理由は、
・自己流でキレイに畳み、タンスの中で保管していた
などが考えられます。
浴衣を長期間ハンガーにかけて保管してしまうと縫い目が崩れてしまい、浴衣を自己流で畳んでからタンスに入れて保管してしまうと変なシワができてしまいます。
また、浴衣は正しく収納しないと、湿気が溜まってカビが生えたり、虫食いができてしまう可能性がありますので、シワだけではなく、カビや虫食いを防ぐためにも浴衣は正しく保管するようにしましょう。
浴衣を長期間保管する場合、
・手をアイロン代わりにして小さなしわを伸ばしながら畳む
この2点に気を付けて、本畳みと呼ばれる長期間の保管に適した畳み方で丁寧に畳んでゆくのがポイントです。
もし、いま保管している浴衣を来年も着たい方や授業で使いたい方は、洗濯してしっかり乾かした浴衣を本畳みにし、通気性の良い畳紙 (たとうし)に包んでから防湿性と防虫効果を兼ね揃えた桐箪笥で収納すると来年までキレイに保管することができます。
ただし、いくら畳紙と桐箪笥に収納しているからといっても、ずっと仕舞いっ放しにしてしまうと浴衣が傷んでしまいますので、空気の乾燥している1月から2月の天気が良い日に1度取り出して着物専用のハンガーにかけて浴衣を干してあげましょう。
いかがでしたか。
浴衣のシワをアイロンで伸ばして行く場合、誤ったかけ方をしてしまうと取り返しのつかないことになってしまう恐れがありますので、正しい知識を身につけた上でアイロンをかけてゆく必要があります。
しわくちゃな浴衣を着て授業に参加したり、夏祭りや花火大会に出掛けるのはとっても恥ずかしいことですので、もしも浴衣がしわくちゃになっていたら、1度アイロンをかけても良い素材かどうかを確認し、もしアイロンをかけても良いのであれば、焦らずゆっくり丁寧に浴衣のシワを伸ばしてゆきましょう。