毎日6時間から8時間ほど使っている枕は、高すぎたり低すぎたり、頭を支えるのが不安定だったりすると、肩こり、腰痛、頭痛、睡眠不足、慢性的ないびきなどの体調不良を引き起こす原因となるため、枕外来や枕コンシェルジュなどで自分に合った枕をオーダーメイドされる方も大勢います。
しかし、枕は高さや安定性だけではなく、衛生面もしっかりと保てるものを選ぶのが、健康や美容への近道だとも言われています。
私たちは就寝中、枕と頭部をぴったりと密着させて眠っています。そのため、枕には顔や頭皮から分泌される汗や皮脂、眠っているあいだにくちの外へと流れ垂れるヨダレ、美容維持のために欠かせないスキンケア商品などの汚れが枕にビッシリと付着しています。
こうした汚れを長期間放置してしまうと、アレルギーの原因となるチリダニや脂漏性皮膚炎や抜け毛の原因となるカビ、肌トラブルなどを引き起こす雑菌たちが増殖をし始め、健康と美容を害する恐れがあります。
特に就寝前にお風呂に入らない方は、日中に付着した排気ガスやホコリ、化粧品などが枕にベッタリと付着し、奥深くに染み込んでしまうため、就寝前にお風呂に入る方と比べると枕が汚れやすいと言われています。
「それなら枕カバーを毎日お洗濯すればよいのでは?」と思われた方も多いと思いますが、毎日こうした汚れが付着する枕は、枕カバーだけでは防ぐことができず、枕の奥深くにまで汚れが染み込んでしまうため、枕自体をお洗濯して清潔に保つ必要があるのです。
そこで、今回は枕で最も人気の素材「羽毛」と「そばがら」のお手入れ方法をご紹介します。
羽毛枕の特徴とお手入れ方法
1970年代以降から枕の素材として用いられるようになった羽毛は、優れた保湿力と防寒性を兼ね揃えており、頭を優しく包み込む感覚とふわふわとした空気感が魅力的な枕素材です。
海外の映画やドラマでは、子ども達が楽しそうに枕をぶつけ合ってフワフワと羽根が舞い上がるシーンやペットが寝室を荒らして枕から出てきた羽毛が部屋中に広がっているシーンなどをよく見かけますよね。
羽毛枕は他の素材には無いふわふわとした柔らかな弾力と触感と底つき感の無さが特徴であり、頭の重みに合わせて程よく沈み込んでくれますので、心地良い睡眠をとることができます。
では、私たちの頭を優しく包み込んでくれる羽毛枕のお洗濯方法をご紹介しましょう。
普段のお手入れ方法
①羽毛枕の表面に付着したホコリやゴミを優しく払い落します。
②直射日光の当たらない風通しの良い場所で陰干しします。
※直射日光での天日干しでも構いませんが、長時間天日干しをしてしまうと羽毛のふっくら感が弱くなってしまう恐れがありますので、天日干しをする際は30分から1時間以内に留めましょう。
③定期的に枕を裏返し、表面のホコリをポンポンと叩き落としましょう。
※干し終わった後にブラシ付きの掃除機で吸い取っても構いません。
④干した後、羽根を折らないように優しく枕をもみほぐしたら完了です。
汚れが酷い場合のお洗濯方法
①羽毛枕の表面に付着した汚れ部分を石鹸でこすり洗いします。
②バケツまたは浴槽にお湯を張ります。
③羽毛枕と中性洗剤を②へ入れ、しっかりと揉み洗いします。
④お湯を変え、羽毛枕に染み込んだ中性洗剤をしっかりと洗い流します。
⑤洗剤が抜けたら脱水し、風通しの良い場所で天日干しをします。
⑥数時間おきに裏返し、2日以上かけて天日干しをし、中まで完璧に乾いたら完了です。
また、羽毛枕は水洗いし過ぎてしまうと柔らかな弾力が徐々に失われてしまう上、お洗濯後には内部までしっかりと乾かさないとカビやダニの発生や悪臭の原因となります。
どうしても羽毛枕をお洗濯したいという方は、1年に1回から2回のペースでお洗濯するようにしましょう。
コーヒーなどの染みになりやすい飲み物や血液などが枕に付着してしまった場合、自宅で落とすことができませんので、お洗濯のプロであるクリーニング店へ持って行きましょう。
そばがらの特徴とお洗濯方法
古くから小豆や籾殻などの穀物を枕の素材として使用している日本では、1960年代に起こった高度経済成長期をきっかけに生活習慣が欧米化し、羽毛やフェザーなどが枕素材として使用されるようになった後も幅広い世代から愛されており、今もなお多くの日本人の睡眠をサポートしています。
穀物素材の枕のなかでも特にそばがらを素材に用いた枕は、優れた吸湿性と放熱性を兼ね揃えており、頭の沈み込み度もほどよく快適な睡眠をとることができます。
では、汗をたっぷり吸い込んで汚れてしまったそばがら枕のお洗濯方法をご紹介してゆきましょう。
普段のお手入れ方法
①そばがら枕から取り外した枕カバーを洗濯機の通常コースで洗います。
②枕本体は直射日光の当たる風通しの良い場所で天日干しをします。
※定期的に枕本体を裏返すようにしてください。
③枕カバーが乾いたら、枕本体をカバー内へ入れて完了です。
汚れが酷い場合のお洗濯方法
①そばがら枕から枕カバーを取り外し、カバーのみ洗濯機でお洗濯します。
②大きくて平らなザルの上に枕本体から取り出したそばからを重ならないように並べ、天日干しします。
③枕カバーが乾いたら、そばがらを枕本体へと戻してカバーを装着したら完了です。
そばがらを洗いたい場合
①大きめのアルミ鍋に枕本体から取り出したそばがらを入れます。
②たっぷりのお湯でそばがらを煮沸消毒したら、ザルなどでしっかりと水を切ります。
③目の大きい平らなザルの上に煮沸消毒を行ったそばがらを並べてしっかりと天日干しをします。
④そばがらが完璧に乾いたのを確認したら粉になったそばがらを振り分けて枕本体へと戻します。
※枕に入れるそばがらは滅菌済みのものが販売されていますので、どうしても汚れが落ちない、汚れが気になるといった場合は入れ替えてしまうのもオススメです。
⑤枕カバーを装着したら完了です。
そばがらは自然由来の素材ですので、汗や湿気などの水分を吸収すると害虫が発生したり、長期間使い続けるとそばがらが潰れて枕から出てきてしまう恐れがありますので、近年はアレルギーを誘発するとして需要が伸び悩んでいます。
枕は毎日使うものですので、常に清潔な状態を保ちたいという方も多いと思いますが、誤った洗濯方法やお手入れ方法で枕を洗ってしまうと、枕の素材を傷めてしまったり、カビや雑菌などを発生させる原因となります。
そろそろ枕を買い替えようとお考えの方は、1度枕専門店へと足を運び、自分に合った枕を探しながら枕の洗濯方法やお手入れ方法についてしっかりと確認されることをオススメします。
快適な睡眠は健康や美容には欠かせませんので、是非この機会にいつも使っている枕の素材について調べてみてはいかがでしょうか。