いま主婦のあいだで、菜箸やおたまなどの調理器具やコップやお茶碗などの食器類をキレイに洗った後、食器水切りかごに入れて自然乾燥させた方が良いのか、布巾で拭いてすぐに食器棚などにしまった方が良いのかという白熱した議論が行われています。
洗った調理器具や食器類を食器水切りかごへ入れて自然乾燥させた方が良いという方々は、
・せっかくキレイに洗った食器類に布巾の繊維が付いてしまうのは嫌
・布巾で拭く時間が無いため自然乾燥させている
といった意見が多く、一方、洗った調理器具や食器類を布巾で拭いてすぐに食器棚などにしまってしまう方々は、
・キッチンペーパーやキレイな布巾で拭いているので雑菌は付かない
・食器水切りかごに繁殖したカビや雑菌が気になる
と、意見が真っ二つに分かれています。
そこで、今回は洗った調理器具や食器類は自然乾燥させるべきか、はたまた、洗ってからすぐに布巾で拭いて食器棚などにしまうべきか、どちらの方法が調理器具や食器類に良い影響を与えるのかをまとめてみました。
調理器具や食器類を自然乾燥させるメリットとは?
衛生微生物研究センターの李新一氏によると、「生乾きの布巾で調理器具や食器類を拭くのは、水滴が付いたまま食器水切りかごに放置する『自然乾燥』と比べて雑菌が多く付いてしまうことがあり、不衛生である」と話しています。
食中毒などの原因となる雑菌は、「温度・水分・栄養 (エサ)」これら3つの条件が揃うと繁殖を始めます。
調理器具や食器類を拭いた後の布巾を洗濯せずに数時間そのまま放置してしまうと、つぎつぎと雑菌たちが分裂をし始め、数が倍々へと増えてしまいます。雑菌の数は繁殖条件によって変化するためはっきりとした数値は明らかにされていませんが、最悪の場合、1枚の生乾きの布巾には「兆」を越える数の雑菌たちが住みついてしまっている可能性があります。
特にジメッとした梅雨の時期や夏は、雑菌が繁殖するのに適した季節のため、使い終わった布巾を半日放置しただけで数時間後には数千~数百万倍の雑菌が増殖してしまいますので、布巾で調理器具や食器類を拭くのは控えた方が良いでしょう。
ですが、どうしても布巾で調理器具や食器類を拭いてすぐに食器棚にしまいたいという場合は、調理器具や食器類を1回拭くごとにしっかりと乾いたキレイな布巾に取り替えて拭いてゆけば雑菌たちが洗った調理器具や食器類に付着することはありません。
ただ、この方法では大量の布巾が必要なうえ、洗濯物の量が増えるため、あまり効率の良い方法とは言えません。
洗った調理器具や食器類を雑菌から守るためには、洗った調理器具や食器類を食器水切りかごへ入れて放置する「自然乾燥」させるのがオススメです。
雑菌が繁殖するためには水分が必要なため、水気の多い食器水切りかごは雑菌の繁殖を促す原因となるのではないかと思われがちですが、雑菌が分裂し始めるのは数時間後であるため、それよりも早く乾いてしまう調理器具や食器類では雑菌は繁殖することができません。
さらに、たとえ空気中に多くの雑菌が飛散していたとしても自然乾燥中の調理器具や食器類に付着するのは数個から数十個ほどですので、生乾きの布巾で水気を拭き取るよりも衛生的と言えます。
調理器具や食器類を布巾で拭くメリットとは?
自然乾燥させた調理器具や食器類は生乾きの布巾で拭くよりも衛生的であることは間違いないのですが、自然乾燥が必ずしも衛生的かというとそうでもありません。
濡れた調理器具や食器類を自然乾燥させるということは、長時間濡れた状態で空気にさらすということです。空気中には目に見えないホコリやゴミが飛散しているので、長時間濡れた状態で食器水切りかごへ入れられた調理器具や食器類には大量のホコリやゴミが付着してしまいます。
さらに、恐ろしいことに食器水切りかごは水気が多く、雑菌が繁殖するのに適した条件がたくさん揃っているため、調理器具や食器類は既に乾いているにも関わらず、そのまま放置してしまうと、食器水切りかごで増殖した雑菌たちが乾いた調理器具や食器類に付着しまうため、生乾きの布巾で拭いてしまったときと変わらない不衛生な状態となってしまいます。
つい洗った調理器具や食器類を長時間食器水切りかごに入れっぱなしにしてしまうという方は、洗った調理器具や食器類をキッチンペーパーで拭いてすぐに食器棚などに収納してしまうのがオススメです。
「キッチンペーパーを使って調理器具や食器類を拭くのはもったいない!」と思った方もたくさんいると思いますが、実際は調理器具や食器類を1つ拭くごと布巾を取り替えるよりもキッチンペーパーを使って水気を拭き取った方が、コスパが良く、手間暇が掛からないので、とっても経済的です。
洗った調理器具や食器類は自然乾燥させるべきか、はたまた、洗ってからすぐに布巾で拭いて食器棚などにしまうべきかについてまとめさせて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
調理器具や食器類を衛生的に保つためには、
・調理器具や食器類の水気をしっかり拭き取る
・1度使った布巾や生乾きの布巾は絶対に使用しない
・食器水切りかごは常に清潔に保つ
・長時間食器水切りかごに調理器具や食器類を入れっぱなしにしない
・水気を拭き取るときはキッチンペーパーを使う
これらを守って洗った調理器具や食器類を乾かしたり、拭いたりすることで、食中毒の原因となる雑菌から調理器具や食器類を守ることができます。
是非、今日から実践されてみてはいかがでしょうか。